初めての鹿

奈良といえば鹿。
でも、修学旅行で見たことがなかった。
奈良で鹿、見たことなかった。


なので今回是非見たい、
そして、鹿せんべいをあげたい！と思い、
３人で東大寺へ向かった。




早速鹿せんべい発見ヽ(*´ｖ｀*)ﾉ





買ってすぐ、店員さんに言われた。

お店の近くにいる鹿は凶暴だから、
早く奥に歩いて行きなさい、
と。

せんべいを隠しても、
匂いでわかるから、と。




はーい(・∀・)
と軽く聞き流し、手に持って歩いて・・・






行こうとした。








そしたら来たんだ・・・








あいつらが・・・・・・。



















やつらは私なんて見てなかった。


私のことなんて、どうでもよかった。





せんべい。





せんべいだけを、欲望のままに求めた。







せんべいを手にいれるためなら
何でもやった。














四面楚歌。


学校で習ったことを、身を持って体験した瞬間だった。


学生たち！

見よ！

これが四面楚歌だ！！


鹿に囲まれた私だ！！！！


どうだ！
可笑しいだろ！！


だが私は必死なんだ！！！








必死に・・・













逃げた。

わかるだろうか。
奥の赤いリュックを背負っているのが私だ。

四面楚歌から逃げた私だ。

それと、私を追う鹿の群れだ。








逃げた。

必死に逃げた。


修学旅行生や観光客であふれる参道を、
奇声をあげながら逃げた。


後ろから、藍子が大爆笑する声が聞こえた。

イラッとした。

イラッとしながら逃げた。












・・・でもダメだった・・・。




逃げられなかったよ・・・。












残りのせんべいを、紙ごと投げ捨てた。









こうして私は、鹿から解放された。


もう二度と、

鹿にせんべいは与えない。